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超音波照射による液中有機物の分解に関する研究
花山工業は20年以上前から公的資金を活用した産学官共同の技術開発を数多く実施しております。
3回目は「超音波照射による液中有機物の分解に関する研究」です。
某大学の試験装置
液中有機物とは?
液体の中に含まれる有機物のことです。有機物の量が少なければ水中の微生物によって分解されますが(自浄作用)、難分解物の量が増えると汚染が進んで、水環境が悪くなります。
地球環境汚染の中でも特に水の汚染が深刻である現在、本研究では環境にやさしい方法として「超音波照射装置」による有機物の分解を試み、汚染水のリユースの可能性を模索しています。
超音波照射によって起こる現象
液体中に強力な超音波を照射すると、超音波キャビテーション(空洞現象)が起こります。空洞現象が起きた時、液中空洞内は真空であるため、あらゆる物質が気化してその中に取り込まれ、細かい気泡となり、大きな圧縮力が気泡にかかります。このとき高温高圧の場ができ、さまざまな物質(液中有機物)が分解されます。
今回のプロセスの概要
染色工場をモデルとして精練工程、アルカリ減量工程、染色工程から排出される主な物質(エチレングリコール)を実験の標準質として選定し、分解挙動及び分解率の解析を行いました。
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この研究の結果
試験対象有機物の分解は成功しましたが、分解による副生物が多数生じることがわかりました。副生物としてエチレングリコールの分解物としてギ酸、グリコール酸、その他の存在が確認されています。
また超音波照射に拘らず水処理全般として他の処方や調査等を行い多くの知見を得ました。
実用化に関しては産総研某国立大学等でも実験中ですが、現在のところ「研究レベル」の状況です。