今後注目されるEUの環境規制
昨年9月にEUのPFAS規制動向について紹介しましたがそれ以外にも環境規制が多く検討されています。
今回は、欧州連合(EU)の欧州委員会で議論されている環境規制の一部を紹介します。
テキスタイル業界に直ちに影響を及ぼすものではありませんが、合成繊維が合成ポリマーである事から注視しておく必要がありそうです。
マイクロプラスチックの定義は範囲が広く、有機物で不溶性、生分解しにくい5mm未満のすべての合成ポリマー粒子が対象。
新しい規則ではマイクロプラスチックそのものと、マイクロプラスチックが意図的に添加され、使用時にそれらが放出される製品の販売が禁止となります。
具体例として人工芝に用いられる粒状の充填剤や、洗浄機能を高めるためにマイクロビーズを加えた洗顔料、洗剤、柔軟剤、光沢剤、肥料、玩具、植物保護製品、医薬品、医療機器等が対象です。ただし工業用途で使用される製品や建築資材など使用時にマイクロビーズを放出しない製品は販売禁止の対象から除外されます。
(*)D4:オクタメチルシクロテトラシロキサン
D5:デカメチルシクロペンタンシロキサン
D6:ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン
表①D4~D6の規制状況
欧州連合で人権や環境に対するデューディリジェンス(DD)が義務化される見通しです。昨年12月に欧州理事会と欧州議会が義務化指令案で政治的に合意したと報じました。 内容は企業活動による人権や環境への悪影響を是正する義務を、特定の企業に課す企業持続可能性DD指令案です。EU域外の企業も対象となり、特定企業の中に繊維・衣類・ 履物の製造及び卸売が該当します。
上記以外にも樹脂ペレットの環境汚染防止に関する規制案が議論されています。これは樹脂ペレットが環境中に流れ出るリスクを評価して対策を講じることや、第三者機関から認証を受けることを求めています。これら規制案が国内企業に対して及ぼす影響は大きくないとみられますが、欧米発の環境に対する取り組みは、いずれ国内にも波及してくるため常にウオッチしていく必要があるでしょう。
今回は、欧州連合(EU)の欧州委員会で議論されている環境規制の一部を紹介します。
テキスタイル業界に直ちに影響を及ぼすものではありませんが、合成繊維が合成ポリマーである事から注視しておく必要がありそうです。
マイクロプラスチック使用製品の販売禁止
2023年9月、マイクロプラスチックを使用した製品の販売を制限する措置が採択されました。マイクロプラスチックの定義は範囲が広く、有機物で不溶性、生分解しにくい5mm未満のすべての合成ポリマー粒子が対象。
新しい規則ではマイクロプラスチックそのものと、マイクロプラスチックが意図的に添加され、使用時にそれらが放出される製品の販売が禁止となります。
具体例として人工芝に用いられる粒状の充填剤や、洗浄機能を高めるためにマイクロビーズを加えた洗顔料、洗剤、柔軟剤、光沢剤、肥料、玩具、植物保護製品、医薬品、医療機器等が対象です。ただし工業用途で使用される製品や建築資材など使用時にマイクロビーズを放出しない製品は販売禁止の対象から除外されます。
環状シロキサン規制が議論されている
2023年6月よりシリコーン樹脂製造に不可欠な中間原料である環状シロキサンの一部をPOPs条約(残留性有機汚染物質に関する国際条約)の対象にする議論が始まっています。
北米、日本、豪州ではすでにリスク評価を終え、先端産業分野から日用品にいたるまで、幅広い用途で耐久性能などの特徴を支える物質として代替品は困難との共通認識があります。今夏に欧州化学物質庁(ECHA)が公開した報告書に対しては、100件を超えるパブリックコメントが集り、世界中のシリコーンサプライチェーンが議論の行方を注視。問題視されているD4,D5,D6の物質(*)は、欧州、日本、米国では表①のように位置づけされています。半導体デバイス、車載電装品、航空機分野の耐久性シール材、医療機器コーティング剤や化粧品原料、繊維用処理剤まで広範囲なシリコーン樹脂にとって、候補となった環状シロキサンは使用量の98%がポリマー製造に使用される不可欠な中間原料です。また現行のREACHでもD4~D6はポリマー製造用途は対象外です。(*)D4:オクタメチルシクロテトラシロキサン
D5:デカメチルシクロペンタンシロキサン
D6:ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン
表①D4~D6の規制状況
国名 | 時期 | 規制状況 |
欧州 | 2020 | D4/D5 日用品への使用が制限される |
日本 | 2017 | D4/D6 監視下化学物質(使用制限なし) D5 一般化学物質 |
米国 | 2020 | D4 リスク評価対象物質 D5/D6 対象外物質 |
人権・環境DDの義務化
欧州連合で人権や環境に対するデューディリジェンス(DD)が義務化される見通しです。昨年12月に欧州理事会と欧州議会が義務化指令案で政治的に合意したと報じました。 内容は企業活動による人権や環境への悪影響を是正する義務を、特定の企業に課す企業持続可能性DD指令案です。EU域外の企業も対象となり、特定企業の中に繊維・衣類・ 履物の製造及び卸売が該当します。
上記以外にも樹脂ペレットの環境汚染防止に関する規制案が議論されています。これは樹脂ペレットが環境中に流れ出るリスクを評価して対策を講じることや、第三者機関から認証を受けることを求めています。これら規制案が国内企業に対して及ぼす影響は大きくないとみられますが、欧米発の環境に対する取り組みは、いずれ国内にも波及してくるため常にウオッチしていく必要があるでしょう。