2024年上期の化繊業界
2024年上半期(1~6月)の日本経済はインフレ圧力が強まり、個人消費が低迷すると言われましたが、実質GDPは全体として横ばいと報道されています。
繊維業界をみると衣料品需要は物価高の影響で消費動向に慎重さがみられ、非衣料分野では自動車生産が一時生産停止に見舞われたことで車輌用繊維資材が低調に推移し、全体として厳しい状況が続いています。
(*)ベトナム、カンボジア、ミャンマー、インドネシア、タイ、マレーシアの合計
日本からの輸入金額は、輸入総額(56,514 百万ユーロ)の約0.9%と非常に少なく、まだまだ拡大できる市場です。
本年前半は総じて厳しい状況でしたが、年央より自動車生産が正常化したことから、産業資材分野で需要回復が期待できます。衣料用分野では中東向け素材が好調を維持していることや、リサイクル原料・バイオマス原料を使った新製品・新素材や機能性合成繊維が相次いで開発されていることから、今後の輸出拡大に期待しています。
(参考資料:「内外の化繊工業の動向」2024 上半期 日本化学繊維協会)
国内化繊業界の状況
衣料分野 | 百貨店はインバウンド効果もあり好調に推移したが、 量販店は消費マインドの低迷でマイナスに転じた。 |
家庭・インテリア分野 | 新規住宅着工件数の低迷を受け、 インテリア・寝装品共に低調に推移した。 |
産業資材分野 | カーシートやエアバッグ類は低調に推移したが下期に期待。 住宅関連資材は今後も低迷が予想される。 |
生産活動について | 化繊生産量は前年同期比9.3%減の32.1万トン。 セルロース繊維は4.3%増の8.6万トン、 合繊は13.5%減の23.5万トン。 品種別にみるとポリエステルSが1.5%増加したものの、 その他のポリエステルF、ナイロンF等はすべて減少した。 |
化繊輸出 (繊維原料~二次製品) |
前年同期比4%増の23.8万トン。品種別ではナイロンFが7%増、 ポリエステルF 2,5%減、ポリエステルS 13%増、 アクリル S 10%減、化繊不織布は0.2%増の3万トン。 |
化繊輸入 (繊維原料~二次製品) |
前年同期比3.5%減の70.4万トン。品種別ではセルロースSが11%増、 ナイロンFは6.8%減、ポリエステルFは3.8%減、 同S は4.5%増、化繊不織布は0.6%減の12万トン。 |
欧州の域外繊維製品輸入状況(2024年1~6月)
順位 | 国名 | 金額(百万ユーロ) | 前年比(%) |
1 | 中国 | 15,226 | ― 8.1 |
2 | バングラデシュ | 8,955 | ― 5.1 |
3 | トルコ | 7,174 | ― 8.5 |
4 | ASEAN(*) | 6,220 | ― 4.1 |
15 | 日本 | 501 | ― 6.8 |
日本からの輸入金額は、輸入総額(56,514 百万ユーロ)の約0.9%と非常に少なく、まだまだ拡大できる市場です。
今後の需要回復 輸出拡大に期待
本年前半は総じて厳しい状況でしたが、年央より自動車生産が正常化したことから、産業資材分野で需要回復が期待できます。衣料用分野では中東向け素材が好調を維持していることや、リサイクル原料・バイオマス原料を使った新製品・新素材や機能性合成繊維が相次いで開発されていることから、今後の輸出拡大に期待しています。
(参考資料:「内外の化繊工業の動向」2024 上半期 日本化学繊維協会)