
花粉症と花粉対策
花粉症有病率の現状
今年は花粉が昨年に比べ多いと予想されているが、スギ花粉症の有病率調査結果を見ると下図「スギ花粉症有病率」のように5歳~9歳が急増していると共に10歳~59歳までの半数が花粉症という状況です。ここでは現在、官民挙げて取り組んでいる対策の一部について紹介します。
スギ花粉症有病率

(出展:鼻アレルギー診療ガイドライン2020)
花粉症のメカニズム
花粉症とは体内に入った花粉に対して人間の体が起こす免疫反応の一部です。つまり、体内に侵入した花粉を異物と認識し、この異物(抗原)に対する抗体を作り、再度侵入した花粉を排除しようとする反応で、一般的に免疫反応は身体にとってよい反応ですが、時には免疫反応が過剰になり生活に支障が出てしまいます。
このように身体にとってマイナスに出てしまう場合がアレルギーになります。
スギ花粉対策の現状
<政府、大学>・政府は花粉症対策としてスギ人工林を10年後に2割減、花粉発生量を30年後に半減する目標を掲げている。 富山県ではスギ花粉が発生しないスギの苗を大量生産し、植樹する活動を始めている。
・東京農業大学は今年に入り、栃木県塩谷町でスギの雄花を枯らす薬剤を有人ヘリコプターで町有林計6万㎡に試験散布した。林野庁の花粉発生源対策推進事業の一環で、今回は薬剤の有用性を確認する詰めの試験である。散布しているのは食品添加物の「トリオレイン酸ソルビタン」を主成分とした農薬で、花粉の形成を防ぐ効果がある。
<企業や研究機関>
・花粉問題対策協議会(JAPOC)では、「花粉通過が少ない工夫がされている網戸」「花粉除去性能が高い空気清浄機」など、厳しい基準をクリアした製品に認証制度を設けている。衣料品では帝人フロンティアが花粉対策素材「ポランバリア」がJAPOC認証マークを取得している
・(一社)繊維評価技術協議会は今年4月より、繊維素材を対象に「特定たんぱく質低減加工」のマーク認証を始める。これは、スギ花粉やダニの糞等によるアレルギーの原因となる特定タンパク質に作用して低減化を図る加工である。このようなアレル物質対策衣料品は数年前から多数販売されているが、認証制度ができたことで、より品質の向上が期待できる。
花粉症対策素材に期待


花粉症対策は発生源を減らすことが一番効果的ですが、これには非常に時間を要します。またアレルギーの発生源はスギ以外にも、ヒノキ、ブタクサ、カバノキ、オオアワガエリ、カモガヤ、ダニの死骸・糞など多く存在するため、さまざまな対策が必要です。花粉症の症状が出る前に効果的な治療を受けることがベストですが花粉症対策テキスタイルと組み合わせることで更に軽減されると考えられます。