染色整理仕上機械など産業機械の設計・製造・販売
花山工業株式会社
繊維産業の監査要求事項・評価基準(JASTI)
経済産業省は、日本の繊維産業全体の社会・人権面の対応強化による競争力向上を図るべく、日本の繊維産業の実態を踏まえた監査要求事項・評価基準「Japanese Audit Standard for Textile Industry(JASTI)」を策定し、2025年4月1日よりスタートさせました。背景には、世界的に人権等のサステナビリティへの対応が求められる中で、我が国の繊維産業においても社会・人権面の取組を向上させ、国際競争力の強化を図る必要に迫られていることがあります。
JASTIの概要
JASTIは、国際的な人権基準であるILO(国際労働機関)中核的労働基準を包摂した上で、社会・人権面を中心とした中小企業等が最低限遵守すべき事項を網羅した監査要求事項・評価基準から構成されています。また、基本的な国内法令等に加え、一部には、国際スタンダードや人権基準に照らして取り組むべき内容(方針策定、体制構築等)を含めています。
特定技能外国人受け入れのための追加要件として活用
人手不足が深刻な分野に即戦力となる外国人を受け入れる「特定技能制度」において、2024年9月に繊維業が特定技能制度の対象分野となりましたが、企業が特定技能外国人を受け入れる際の追加要件の1つとして、「国際的な人権基準に適合し事業を行っていること」が課されています。今般策定したJASTIを、この追加要件への適合を確認するための対象となる認証・監査の1つとして追加することが決定されました。特定技能外国人を受け入れる事業所が、JASTIに基づく第三者監査を受けることで、日本の繊維産業における人権に対する意識・取組の底上げを図っていくことになります。
JASTIの要求監査項目
各項目の具体的な内容は割愛するが全部で84項目。
詳細は令和7年3月に経済産業省 生活安全課が公表した「JASTI」に関する公開資料に記載。
No 項目 項目数
1 強制労働 9
2 児童労働 6
3 差別・ハラスメント 9
4 結社の自由・団体交渉権 2
5 労働安全性 22
6 雇用及び福利厚生 15
7 賃金 8
8 デューデリジェンス 7
9 外国人労働者 6


JASTI 運営体制の概要
費用削減や早期判定の観点から認証制度ではなく第三者監査制度として運用を開始。
監査は繊維の検査機関や全国社会保険労務士会連合会(7月開始)が担当。


JASTI判定基準の概要
・監査要求事項ごとに重要度が設定されており、監査結果に応じて「A判定」・「B判定」・「判定なし」のいずれかに判定される。
・事業者が取り組みやすい形としつつ、その後の継続的な改善に向けた取り組みを促す仕組みとして、初回審査と2回目以降審査で異なる判定基準を設定する。
・特定技能制度の追加要件「国際的な人権基準への適合」との関係では「A判定」又 は「B判定」の場合は要件を満たすとし、その際 「A判定」の場合は2年後の更新、「B判定」の場合は1年後の更新が必要となる。
JASTI利用に向けて
繊維産業に携わる中小企業で、これから特定技能外国人の受け入れを検討されている企業はJASTIの利用が便利と考えます。ここでは概要のみ紹介しましたので、実際の活用にあたっては、日本繊維産業連盟(JASTI監査制度)のポータルサイトを確認をお願いします。