アジアの自由貿易協定「RCEP」
RCEPの交渉が大詰めを迎えている中、RCEP域内の繊維業界に着目しました。
(引用:日本化繊協会 鍵山博哉氏 2014)
「RCEP」とは
RCEPとは「Regional Comprehensive Economic Partnership」の略称であり、日本語では「東アジア地域包括的経済連携」と言われています。
経緯:2012年11月 RCEP交渉立ち上げを宣言
2019年11月 第3回RCEP首脳会議開催 (タイ国)
交渉参加国:アセアン10カ国+6カ国(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド) 計16カ国が交渉中
RECPの意義
■世界人口の約半分、世界のGDP及び貿易総額の約3割を占める経済圏である。
■世界の成長センターであるアジア太平洋地域の取り組みは、日本が経済成長を維持・増進していくために不可欠である。
多くの日本企業が活動するこの地域で自由で公正な経済圏の構築は重要である。
■市場アクセス(関税削減等)の改善により地域の貿易・投資を促進。
また関税手続、知財、電子商取引等のルールを整備する事により非関税分野で日本企業の活動支援。
日本の貿易総額に占めるRCEP参加国の比率(2018年)
(引用:財務省貿易統計)
RCEP域内の繊維生産量・輸出量・消費量
項目 | 指数 |
---|---|
域内の化繊生産量 | 世界生産量の約80%以上 |
域内の紡織設備 | 世界の約60~70% |
域内の繊維品輸出 | 世界の約70% |
域内の繊維消費量 | 世界の約50% |
国内繊維企業が海外生産で重視する国・地域(2020年)
国内繊維企業が海外販売を重視する国(2020年)
(引用;繊維ニュース 新春業界アンケート(119社)2020 )
繊維業界にとってのRCEP
上記グラフ・表で示したように、RCEPは日本の経済成長、特に繊維産業の発展にとって、非常に重要だと考えています。
TPP11及びRCEPの両方に加盟している繊維主要国は日本とベトナムという視点からも、近年ベトナム進出企業が急増していることがよく理解できます。RCEPは昨年11月の首脳会議で合意予定でしたが、新興大国インドの合意が得られず、15カ国による第1段階のスタートも検討されていると言われています。しかしインドは衣料用繊維のみならず、非衣料用繊維の分野でも世界トップクラスになる可能性を秘めている国であるため、業界としては早期合意を望んでいるものと推察します。当社の繊維用機械も、タイ、インドネシア、ベトナム、インド等に納入実績が多いことから、RCEPの合意が販売支援につながると期待しています。