染色整理仕上機械など産業機械の設計・製造・販売
花山工業株式会社
繊維製品における資源循環ロードマップ
5月に環境配慮型繊維製品の議論内容を紹介しましたが、6月に産業構造審議会 製造産業分科会 繊維産業小委員会より「繊維産業におけるサステナビリティ推進等に関する議論の中間とりまとめ」が発表されたので概要を紹介します。2022年5月「2030年に向けた繊維ビジョン」が発表されましたが、欧州を中心に業界を取りまく環境変化が加速度を増していることから更なる強化策が必要となり今回の議論・検討になったようです。
資源循環ロードマップの概要
環境配慮等サステナビリティへの対応 2030年目標
1-1 衣料品回収量の増加に向けた制度整備(環境省)
自治体と事業者による収集・整理システムの構築等
家庭からの廃棄衣類量を2020年比で25%削減
1-2 資源循環システム構築に資する技術基盤の整備
複合素材の再資源化、リサイクルプロセスの環境負荷低減等
廃棄衣料のうち
繊維to繊維リサイクルで5万ton
1-3 繊維製品における環境配慮設計の推進
環境配慮設計のIOS化及びJIS化を迅速に推進等
環境配慮設計ガイドラインの企業普及率80%
1-4 情報開示の推進とグリーンウオッシュへ対策
まずは大手アパレルの情報開示を徹底その他
国内主要アパレルの情報開示率100%
1-5 適量生産・適量消費に向けた取り組みの方向性
長期間使用可能製品やリサイクル製品の普及促進
市場供給量を減少に転じさせる

(備考:詳細は産業構造審議会 繊維産業小委員会のHPを参照願います)

繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドラインの対象者
(1)繊維製品を企画設計し、消費者に販売するアパレル企業・商社・卸・輸入業者等
(2)サプライチェーン上の,紡糸・紡績・染色・法制を行う企業等

国内の例



環境配慮情報開示ガイドラインの対象者となる北陸産地の繊維関連企業は、情報公開に向けた準備が必要と思われますが、中小企業の多い産地企業にとってはハードルの高さが気になるところです。まず自社の環境配慮に関する考え方をまとめた行動方針を決定し、情報公開に向けた社内のシステム構築が必要です。情報の信頼性を高めるには第三者認証等が必要になることも予想されます。また将来的には人権に配慮した取り組みの情報開示も求められることから、国内だけでなく国際的な開示枠組みとの整合性も調査しておくことが望まれます。
今回のガイドライン対応は一企業だけで個々に対応するのは難しいと思われます。国内の繊維産業が国際的な評価を受け、更に発展するよう、業界と政府が一緒になって課題解決に取り組むことが必要です。